注文住宅の会社選び

スーモカウンター取扱説明書

無料で使えるのはなぜか。何が得られて、何は得られないのか。契約前に知っておくと損をしない点を、公開されている加盟企業向けの約款をもとに整理しました。

約款は2026年6月22日改訂版。2026年8月時点で公開されている内容を確認しています。出典は末尾に記載。

まず結論

スーモカウンターは、会社選びの「当たり」を引く道具ではありません。「外れ」を避けるための道具です。相談から紹介、面談の日程調整、断りの代行まで無料で、費用は成約した住宅会社が払います。

効き目は相手によって変わります。中堅・中小の会社を検討するときはフルに効きます。大手やフランチャイズが相手だと、倒産に備える保証は会社側がすでに持っていることが多く、その分は効きません。

無料で使える仕組み

利用者は1円も払いません。かわりに、紹介を受けた会社と契約したとき、その会社がリクルートに請負金額の5%を払います。3,000万円の契約なら150万円です。

建築工事等の着工日(新築の場合は根切り工事の開始日…)以前に締結された建築工事等の請負契約等に記載の契約金額の最終総額(消費税を除く)とし、これに5%を乗じた金額に消費税分を加算した金額を本サービスの対価とします

スーモカウンター注文住宅サービス約款 第4条2項

相談だけで終われば、この5%は発生しません。契約して初めて発生する成果報酬です。この課金の仕組みが、後の話に効いてきます。

誰が使っても効くもの

価格に上乗せさせない仕組みがある

「紹介料が建築費に上乗せされるのでは」という不安に対して、約款は上乗せを禁じています。

事業者は、紹介客に対して、事業者の一般顧客に比べ、請負代金に本サービスの対価を加算する等の不利な扱いをしたり(紹介客に本サービスの対価を加算したように見える見積書の提示を含みます)、本サービスの対価(料率)について伝えたり…当社や本サービスの信用を損なう行為…をしてはなりません

同 第9条2項

禁止と書くだけなら誰にでもできます。ここには実効化する手段が三つ付いています。

  1. 住宅会社は契約書と見積書の写しを提出する義務がある(第10条2項)
  2. リクルートは施主本人に直接連絡して商談の内容を確認できる(同3項)
  3. 違反すれば通知なしで即時契約解除(第23条)

全国の見積書を継続的に見ている相手に、上乗せを隠し通すのは割に合いません。完全に防げるわけではありませんが、他のどの探し方にもない歯止めです。

成約したときだけ課金される

一括資料請求サイトは、申し込ませた時点で収益が確定します。1件あたり1万4千円前後が申込発生で入るので、その人が成約するかどうかは運営側の収益に関係ありません。

だから担当者がランダムに決まっても、要望と会社が噛み合っていなくても、事業としては困らない。送客の量が正義になる構造です。

スーモカウンターは、紹介しただけでは収益になりません。加盟する住宅会社は都道府県ごとのシステム登録料とサービス利用料を払いますが(第2条2項。金額は非公開)、送客1件ごとの課金はなく、動く収益は成約時の5%だけです。

講座の運営費、アドバイザーの人件費、店舗の家賃、面談の日程調整、断りの代行。これを全部先に払ったうえで、契約に至ってようやく5%が入ります。

運営側はマッチングの精度そのものに事業が依存します。適当に多くの会社へ流しても収益になりません。むしろ調整の手間が増えるだけ損をします。「紹介が丁寧」「候補の絞り込みが的確」という体感は、善意ではなくこの課金地点から出てきています。

担当者に役職者が当たりやすい

住宅展示場に飛び込むと、その日たまたま在席していた営業が担当になります。しかも後から変えるのは簡単ではありません。元ハウスメーカー営業の解説では、頼りない担当が付いた場合は「我慢する・担当者変更を申し出る・建築会社を諦める」の三択になる、と書かれています。カウンター経由だとここが変わります。

リードの質が高い

予算・要望・時期が整理され、面談日程まで確定した状態で会社に渡されます。営業の人員は有限なので、成約確率の高い相手に高スキルの人材を割り当てるのが合理的な配分です。元営業マンの説明では「一般的には店舗責任者によって担当営業マンを任命します」「検討度合いの高い顧客には、より契約につながりやすい優秀な営業マンを担当にする可能性が高い」とされています。

競合が明示された商談になる

カウンターは通常3〜4社を並べます。住宅会社は、今まさに他社と比較されていると分かった状態で商談に入ります。差がつきやすい勝負ほど、強い人員を出す意味があります。

必ず役職者が来るわけではありません。ただし希望は事前に伝えられます。「支店長か部長以上の方を希望」と伝えて大手ハウスメーカーの支店長が担当になった、という体験談も出ています。

比較の土俵をつくってくれる

複数社を同時に、同じ条件で比較できる状態にしてくれます。日程調整も断りの連絡も代行。1日に複数社と会うこともできます。時間の節約という意味では、誰にでも等しく効きます。

加盟審査による与信チェック

加盟時に決算書類等の提出を求め、年1回の更新審査で不適格なら紹介停止・契約解除になります(第2条3項、第3条3項)。財務に不安のある会社は、そもそも紹介の候補に入りません。

ただし、この審査は非公開です。個々の会社が通ったかどうかを施主が確認する手段はありません。効いているのは「母集団から危ない会社が除かれている」という点までです。

契約先によっては不要になるもの

完成あんしん保証

着工後に住宅会社が倒産した場合、請負金額の30%または1,000万円の少ない方を上限に、過払い金や割増工事費を補償します。保証料はスーモカウンター側の負担です。

ただし住宅完成保証は、住宅会社が自前で加入していることがあります。フランチャイズや大手に多いパターンです。その場合、保証が二重になるだけで、あってもなくても結果は変わりません。

完成保証への加入は任意ですが、ハードルは低くありません。ある保証機関の説明では「過去3年間の決算報告書の提出による財務内容のチェックをはじめ、厳しい審査基準をクリアしなければなりません」「毎年決算内容を確認し、経営状態のチェックをします」とされています。

裏を返せば、自前で加入している会社は第三者の財務審査を毎年通過しているということです。⑤の与信チェックと同じ性質の審査を、施主が確認できる形で通っていることになります。

弱点

紹介される会社に偏りがある

5%を払える収益構造が加盟の条件になるので、フランチャイズ・大手・拡大志向の会社が中心です。広告費をかけず紹介も必要としない工務店は、構造的にリストに入りません。見学会と口コミだけで受注が埋まっている会社がこれにあたります。一番いい会社に出会える経路ではありません。

値引き幅までは検証できない

約款は紹介客を一般顧客より不利に扱うことを禁じており、値引き幅もこれに含まれます。ただし「値引きをしなかった」は見積書に痕跡が残りません。①の監査は書類で行われるため、ここだけは検知できない領域です。仕組みで担保されているのは提示価格であって、交渉の結果ではありません。

どの3〜4社を出すかの裁量は運営側にある

中立性は約款で担保されていますが、選定の過程を外から検証することはできません。

検討先によって効き方が変わる

検討先効くもの実感
大手・FC(自前保証あり) ①〜⑤ ⑥は保証が二重になるだけ。比較の手間が減る道具として使う
中堅・中小(自前保証なし) ①〜⑥すべて 倒産と上乗せの両方に網がかかる。実利が最大

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差が出るのは⑥だけです。①〜⑤は相手が誰でも同じように効きます。倒産リスクへの備えを自前で持っていない会社を検討するときに、最も実利が大きくなる仕組みだと考えると、使いどころを間違えません。

他の探し方との比較

探し方候補に入る会社費用が発生する時点リスク管理
スーモカウンター与信審査を通り、固定費と5%を払える会社加盟時の固定費と成約時5%価格監査・与信・保証
展示場に直接出展できる規模の会社出展料(成約と無関係)なし・担当は運
自分で調べて問合せ制約なしなし全部自分
一括資料請求加盟社申込1件ごと(例1.4万円)なし・担当ランダム
独自審査つきの紹介サービス審査を通った工務店のみ1軒あたり定額数万円質の審査あり。対応エリアは限定的
SNS・インフルエンサー提携先のみ数万〜数十万、または3〜5%なし

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賢い使い方

  1. まずカウンターで相場観と比較軸をつくる。資金計画、費用の内訳、会社の絞り込み方。ここまでは無料で、①〜⑤が付いてきます。紹介を受けるかどうかは、その後に決めれば構いません。

  2. 担当者の希望を最初に伝える。「経験の長い方を」と言っておくと通りやすくなります。ここを言わないのは、使える枠を捨てているのと同じです。

  3. 設備のグレードやブランドの安心感を重視するなら、紹介された中から決めて構いません。資材を一括仕入れするフランチャイズや大手が揃っているので、設備の価格ではむしろ有利に働きます。

  4. 性能と価格を突き詰めたいなら、自分で候補を足します。新住協やパッシブハウス・ジャパンの会員一覧から地域で探せます。ただし設備の仕入れ単価では、資材を一括仕入れする大手やフランチャイズにまず勝てません。地域の工務店の強みは広告費や展示場を持たないことなので、比べるのは設備の単価ではなく、同じ性能(UA値・C値・耐震等級)を満たしたときの総額です。

出典